高配当株投資を始める人にとって、投資対象に挙がりやすいのが、米国高配当ETFである「SPYD」。
今回はSPYDが選ばれる3つの理由や、SPYDに投資する上で注意すべきポイントについて、解説していこうと思います。
SPYDが選ばれる3つの理由
理由1:高い配当利回り
SPYDが選ばれる理由として、最も多いのがやはり他の高配当ETFと比べて、高い配当利回りであることでしょう。
2020年のSPYDの配当利回りは、4.95%(税引き後約4%前後)
この4.95%は、他の高配当ETFであるVYMやHDVと比べても高い数字です。

配当利回りが高いとそれだけ受け取れる配当金も増えて、普段の生活が豊かになる実感を得やすいので、やっぱり魅力的ですね。
理由2:S&P500に近似し値上がり益も期待できる
またSPYDのチャートを見てみると、米国最強の株価指数S&P500とチャートの動きが似ています。
以下はSPYDのファンドが設立された2015年からのチャートの動きですが、コロナショックでの下落率の差こそあれ、動きは似ています。コロナショック前にはSPYDがS&P500を上回る局面もありました。


あれ?本当にSPYDを買って値上がり益期待できるの?
S&P500と比較してしまうと、トータルリターンはどうしても負けてしまいますが、それでも2015年のファンド設立時から積み立てていたとすると、現状約1.3倍のトータルリターンを得ることができます(30.13USD→40.04USD、※2021年4月現在)
- 将来的な資産を拡大したい場合はS&P500(インデックス投資)
- 配当金で手元のキャッシュフローを高めたい場合は高配当ETF(高配当株投資)
このようにまず理解しておくといいでしょう。
ちなみにインデックス投資と高配当株投資の合わせ技というやり方もあります。


理由3:格安の経費率
またSPYDの投資にかかるコストも激安です。
経費率は、簡単に言うと運用における運用会社の取り分の割合のことなのですが、その経費率がSPYDの場合、たったの0.07%です。
0.07%ということは、100万円をファンドに預けた場合、1年間でのコストはたったの700円しかかからないという計算です。
ちなみに、最近話題のロボアド運用のWealthNaviは運用コストに1%がかかるので、それと比べると以下に格安なのかということがわかってもらえると思います。
以下が米国高配当ETFのそれぞれの運用コストです。


基本的にETFの投資にかかるコストは、低めであることがわかりますね。
SPYDに投資する上での注意点
SPYDに投資する上で、もちろん注意する点もあります。
注意点についても解説をしていきます。
注意点1:暴落に弱い


上記はコロナショック時の「VYM」「HDV」「SPYD」のチャートなんですが、一番コロナショックで暴落をしたのがSPYDなのです。その後のチャートの戻りはさすがですが、とはいえ暴落には弱いことが証明をされてしまいました。
理由としては、SPYDは構成銘柄が金融・不動産セクターに偏りがあり、かつ分散もVYM(VYMも上位セクターを金融が占める)と比べると甘めなので、このような結果になったと思われます。
なのでSPYDを保有する際には、エネルギーや通信セクターを中心に銘柄構成されるHDVも併せて持っておくことで、バランスの取れたポートフォリオになり、暴落にも強くなります。
ちなみに以下が「VYM」「HDV」「SPYD」のそれぞれの上位セクターと構成銘柄数の表です。


SPYDのセクター構成も載せておきます。


注意点2:増配率の低さ
またSPYDは増配率の低さも気になります。VYMとHDVとの増配率の比較がコチラ。


SPYDは大きく減配した年もあり、直近5年間での増配率は1.90%に留まっています。
増配率は、高ければ高いほど配当金が複利的に増える重要な数字なので、長期的に高配当株投資をしていきたい人には無視できないです。
(※増配の重要性についてはこちらでシミュレーションとともに解説をしています↓)


もし将来的に受け取れる配当金を増やしていきたいのであれば、増配率が高く10年連続で増配を続けるVYMを中心としたポートフォリオを組む方がいいかなと、個人的には感じています。
注意点3:ファンド設立までの歴史が浅い
あとはSPYDはファンド設立まで、そんなに年数が経っていません。2015年にファンド設立なので、次が6年目という感じですかね。
つまり、コロナショックは経験をしましたが、リーマンショックなどの大きな金融危機にはまだ直面をしていません。
金融セクターがメインのSPYDだけあって、リーマン級の金融危機があった時にどのようなチャートの値動きを辿るのかが全く見えず、そこが1つ不安要素としてあります。
その点、同じく金融セクターが上位を占めるVYMは、ファンド設立が2006年ということで、100年に一度の金融危機(リーマンショック)も経験をしているので、ファンドに対する信頼感はやっぱり違いますよね。
最後に
僕は増配を狙って将来的に受け取れる配当金を増やしていきたいので、VYM中心のポートフォリオを組みます。
例えばこんな感じ。


とはいえ、SPYDは高い配当利回りが魅力的な商品で、普段の生活が豊かになる実感を得たい人にとっては向いていると思います。
一度自身の投資の目的を振り返った上で、将来的な資産拡大を狙うインデックス投資なのか?手元のキャッシュフローを高める高配当株投資なのか?をよく検討し、SPYD含めた自分にいい塩梅のポートフォリオを組んでみてください。
投資の目的を振り返る重要性については、こちらで解説をしているので、ぜひ投資を始める前に読んでみてください。


SBI証券は米国高配当ETFを定期的に積み立てていきたい人にオススメです。
ちなみに米国高配当ETFを購入するための為替手数料は、証券会社の中で最安です。
米国高配当ETFの買付方法については、以下の記事で詳しく解説をしています。
ぜひ参考にしてみてください。

